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生産者 ヴァルテル・デ・バッテ

リグーリア東部、ラ スペツィア近郊。   チンクエ テッレと呼ばれる西端のモンテロッソからリオマッジョーレまで、 地中海に面した5つの町。ワイン造りの歴史は古く、1100年代にはブドウ栽培・ワイン醸造の記述も残る、 歴史ある土地。平地がなく、土地も痩せているチンクエ テッレ。人々は急斜面の固い岩盤を砕いて石垣を築き、岩盤を砕いた際に出た砂を土壌としてブドウ畑を作るという非常に過酷な環境。それでも、潮風とミネラル豊富な土壌から生まれる個性的なブドウ、そしてワインは中世の時代より価値を見出され、希少なワインとして評価されてきました。
ただでさえ貴重なワインであるチンクエ テッレの造り手の中でも、 徹底したこだわりを持つ造り手、ヴァルテル デ バッテ。 貧しい土地、栽培の過酷さ、決して多くの収穫を見込めないチンクエ テッレの畑。 ワインを造るだけでも貴重といわれる環境の中、薬品類や肥料に頼るのではなく、 自然環境を尊重し、土地、ブドウ樹の自然バランスを尊重したブドウ栽培を行っている。 さらに言えば、ただでさえ希少なブドウであるにもかかわらず、そこからさらに収穫量を抑え、果実の凝縮、完熟したブドウから表現されるチンクエテッレの個性。僅か0.7haの畑から収穫、ワインとして出来上がるのはたった1500L〜2000L、本数にすると僅か2000〜3000本あまりの少なさに絶句してしまいます、、。 いかに過酷な環境であろうと、一切妥協のない栽培・醸造哲学により生み出される彼のチンクエ テッレ。90年代末には周囲の生産者を圧倒しており、当時の時点で唯一無二のチンクエ テッレとして評価されていた。それにも関わらず、2007年を最後にDOCから離脱する道を選びます。
リオマッジョーレで生まれ育ったヴァルテル。チンクエ テッレという土地、歴史を深く愛していたからこそ、伝統よりも効率、希少性のみを売りにするDOCへの失望感を感じ続けてきた彼、「チンクエ テッレの骨組みともいえるブドウボスコ。分厚い果皮を生かすためにも果皮と共に醗酵させる。完熟したボスコは果皮が赤くなってゆく、だからワインの色が濃くなることは当然なこと。無色透明なワインでなければチンクエ テッレとは呼べないなどと、近年のDOCが言い始めた時、自分からDOCを辞めようと思ったんだ。自分が造りたい、表現したいのは土地(テロワール)としてのチンクエ テッレ、名前や肩書に左右されるものじゃない」。これまでの栄誉や肩書きをすべて捨て、リオマッジョーレにある0.7haの畑と別に、これから先の可能性を追求するべく、「Primaterra」として新たに2haの畑、カンティーナを立ち上げ、ゼロからのスタートを切ったヴァルテル。これまで自分で見てきたチンクエ テッレという土地の個性、「それはもっと広い視野で見た歴史・気候環境をも感じ取れるものなのではないか?それこそ、リグーリアから地中海沿岸に沿って隣接するニース(1800年代までイタリア領であったこともあり、リグーリアには大きなつながりがあると考えているヴァルテル)を中心にプロヴァンス、そして地中海を越えた先にあるサルデーニャ  (グルナッシュというブドウを追ってゆくと、リグーリアのグラナッチャ、 スペインのガルナッチャ、トスカーナのアリカテ、 最後はサルデーニャのカンノナウにたどり着くという、、)をも含めた 「mediterraneo=地中海」という個性を表現できるのではないか?彼の目には「国境や州を越えても、全く異なる土地と見るのではなく、様々な違いはあれど、ある種の一体感や通じ合う部分を持つ、それこそが地中海を中心にした文化的な個性なのではないか?今まではDOCという枠でしかワインを見ることができなかった、だけどそこから離れることで、より広い視野でワインと向き合うことができる、そう話す彼。
一つのワインから、土地を表現する。それだけではなくもっと幅広い世界観を表現しようというヴァルテル デ バッテ。  これまで以上の独自性を感じつつも、それを十分に感じさせる味わい、凄まじいポテンシャルを秘めたワインです。
過酷な環境、限られた土地。チンクエテッレという名前だけで希少かつ高価といわれる現実に逆らい、VdTとして徹底した栽培・醸造、ブドウへのこだわりによって生み出されるヴァルテル デ バッテのワインは、単なる希少価値ではなく、それに見合うだけの味わいと表現力を持ったワインだと思っています。チンクエテッレという枠を超え、考え抜かれた土地の表現。リリースされるワインの少なさは常軌を逸しているレベルですが、、。リグーリア、チンクエ テッレを代表する「唯一無二の造り手」といっても過言ではないでしょう。
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