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生産者 ジル・アゾーニ


【ドメーヌについて】

 アヴィニョンから西北に1時間ほど行くと、深い渓谷が続く。携帯電話も届かない静かな山間にあるレ・サルレ村に、マ・ド・ラ・ベギュードはある。パリ生まれのジル・アゾーニはワイン造りに興味を持ち、ヴォルネイでしばらく働いた後、1983年にこの村にやってきた。はじめは普通にワインを造っていたが、自然なワイン造りを模索するうち、自然派の造り手たちとの交流が深まり、今のスタイルにたどり着いた。オヴェルノワ、クルトワ、マゼル等を敬愛している。


出会い:  ジル・アゾーニは優しさに満ちた人で、この地でワインを作ることがどれほど幸福かということをゆっくりと話してくれます。「泉のわくところ」 という意味の「ベギュード」に設けられたマ・ド・ラ・ベギュードは、いつ訪れても静けさに満ちています。

 私は当初、彼のワインは軽くて飲みやすい南仏ワインと捉えていました。しかし今では、栽培・醸造にきちっとした考えが貫かれ、確かな技術と優れた感覚によって生みだされた素晴らしいワインである、と信じるようになりました。その理由は、2002年ヴィンテージの彼のワインが素晴らしかったからです。

 2002年、この地域は大雨が続き、洪水状態のさなかに収穫されました。著名な造り手たちのワインですら、シンプルで奥行きのないものが目立ちました。一般のワイン造りでは、遠心分離機を使って果汁を人工的に濃縮したり、補糖や補酸などのテクニックを駆使してまとめあげたりする場合も多く、酸化防止剤を使って傷んだブドウによるトラブルを防ぐこともできます。しかし、ヴァン・ナチュールの醸造では、酸化防止剤の使用量が大変少なく、培養酵母による発酵や、補糖・補酸などをしませんから、このようなヴィンテージに経験が浅いとワインの完成度が低く、欠陥商品となることもあります。実際、私どものケースも含めて、日本に到着後半年たってもワインが安定せず、内在していた欠点が明確に現れたため、良品とはみなしがたいものもありました。ジル・アゾーニのワインも到着したては不安定で、悪い意味で「いかにもヴァン・ナチュール」という風情の、野暮ったくてパッとしない味わいがし、とてもお勧めできる状態ではありませんでした。他のワインでも問題をかかえたものがあって心配しておりましたが、3〜4ヶ月たつと次第に香り・味わいともに果実味が立ち上がってきて、10ヶ月目ごろにはハーモニーのとれた、なめらかで飲み心地のよい、チャーミングなワインに変身しました。ふだんはこのクラスのワインを扱わないワインバーでも、「パーティに起用してあまりによかったので、しばらく定番のグラスに使いたい」と、おっしゃっていただきました。

こういうわけで、ジル・アゾーニを間違いなく優れた造り手であると確信するにいたりました。  2003年は、フランスの他の地域と同じく、気温が高くて雨が少ない異常気象となりました。しかし南仏では、品種がもともと熱に強く、わずかながら7-8月に雨が降ったため、他の地域ほどは深刻な問題はなかったようです。有機栽培のおかげで2003年としては健全な酸を保つことができ、芳醇な味わいのワインとなりました。「マ・ド・ラ・ベギュードでは、ブドウはイエス・キリスト、畑は聖母マリアで、造り手は二人に従う羊飼いです。自然への畏敬と個人的な興味を保ちつつ、人生と哲学を仕事のなかで一致させたいと考えています。ブドウがすべてであり、造り手はブドウに従うものであって、決して加工者であってはいけません」と、優しい口調のなかにも毅然と自らの考えを述べています。

 一般にシラーとグルナッシュで造られるワインは、甘さがくどくて濃い一方の単調なものが多いのですが、かつてのシャトー・ラヤスのように偉大なワインは、必要な熟成期間を経てブルゴーニュも及ばないような繊細さを身につけることがあります。もちろん、マ・ド・ラ・ベギュードとラヤスを単純に比較することはできませんが、ジル・アゾーニが造るワインは、ゆっくり落ち着かせれば、繊細で複雑な味わいへと美しく成長してゆきます。 (インポーター資料より)


【畑について】

栽培:ビオロジック

土壌:石灰質・粘土


【醸造について】

圧搾:水平型プレス

醗酵:ステンレスタンク、ポリエステルタンク、樽

熟成:ステンレスタンク、プラスティックタンク、樽

醸造:セミ・カルボニック

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